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ぼくのなかには石がある
荒削りの真っ黒な石が
沈黙をかためて坐っている
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何のかけらか分からない
誰に渡されたのかも分からない
真っ黒な石が
生まれたときから ここにある
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あの子に恋した冬の日も
お父さんと言い争った乾いた夜も
孤独に焼かれた透明な朝さえ
ただここにいた
真っ黒な石
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言葉を失くして
ぼくが黙ったときにだけ
石は語りかけてきた
ような気がした
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幾つもの時に磨かれて
一緒に角を丸くしていく
石とぼく
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この身体が灰になるとき
石はどこにいくのだろう
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静けさに佇んでいると
艶が出てきた表面を
白く光らせて
石がずうんと震えだした
ような気がしたㅤㅤ
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7月もお疲れさまでした。まないです。
8月もひきつづき、暑いですね…。
僕は今このレターを書いているのは東京なのですが、
5 月まで住んでいた沖縄の夏の方が明らかに涼しくて、
久々の関東の夏にバテぎみです…。
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そんな風に猛暑にうなだれつつも、7月も楽しい催しがありました。
地元にある出雲の本屋・句読点さんを会場に、音楽家・多久和千絵さんをゲストに迎えて開催した朗読ライブツアー『風のはじまるところ in 島根』。
そして、出雲のもう一つの本屋・あわい堂さんを会場に、出雲の詩人・橘いずみさんをゲストに開催したトークイベント『ことばの振動』。
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両日ともに、集まってくださった出雲の地元の皆さんのおかげで、それはそれはとってもアットホームであたたかい時間になりました。
やっぱり地元っていいですね。初めて会う人たちでも、目に見えない何かが共有されてる感じがたしかにある。言葉を越えた響き合いが、とても嬉しかったです。
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橘さんとの対談では、前世は兄弟だったんじゃないかというくらい、詩という芸術に込める想いや価値観がピッタリ一致してる部分が多くて、共振炸裂な楽しい時間でした。
多久和さんとのライブも、僕の詩をもとに作曲いただいた楽曲をパフォーマンスいただくというサプライズつきで、とても贅沢な時間でした。
こうやって地元で、土地の意識を共有したアーティストと共演できるのは、本当に楽しいですね。僕のなかで眠っていた何かの種が発芽した気がします。この感覚とご縁が、これからどんな風に芽吹くのか楽しみだなあ。
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8月はお休みして、予定では10月前半に京都、10月後半に東京で開催の予定です。それぞれ、ご一緒させていただくのが光栄すぎる素晴らしいミュージシャンのお二人と共演させていただきます。来月のレターでお知らせしますね。
朗読ライブツアー『風のはじまるところ』は、この10月で一区切り、計5箇所でやはり終わりにしようかと思っています。というのも実は、新刊発売の予定があり、そっちにもエネルギーを注ごうと思っているからなのでした。その詳細もぜひ来月のレターで。
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猛暑は続きそうですが、身体とこころに溜め込んできたものを、いっそのこと汗と一緒にスッキリ出し切って、軽やかな気持ちで豊かな秋を迎えたいですね。
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来月もここで、お会いしましょう。
あなたの今日が、美しい一日になりますように。
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― まないより
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p.s.